中高から続けたボランティアの実践に加えて理論を身に付け、社会課題に向き合う力を育てる
コミュニティ人間科学科 4年

OVERTURE
中高時代からボランティア活動に熱中してきた戸田ういさん。実践に加え理論も学びたいとコミュニティ人間科学部に進学しました。プレゼンテーションや社会課題に向き合う力、サーバント・リーダーとしての行動が身に付いたという戸田さんに、これまでを振り返っていただきました。
理論と実践の両輪でボランティアを学びたい
中学・高校時代にはボランティア部に所属し、海外で起きた災害への募金活動や、新型コロナウイルスのワクチン接種会場の清掃・案内など、さまざまなボランティア活動に積極的に参加しました。誰かが喜ぶ顔が見られること、感謝の言葉をいただけることに大きなやりがいを感じました。
大学でもボランティア活動に取り組みたいと考えていましたが、高校の先生から「ボランティアは実践と理論の両輪が必要なので、実践だけでなく学術的な理論を学ぶことで成長できますよ」とご指導いただき、理論を学ぶと同時に社会での活動や実習も可能な進学先を探すことにしました。青山学院大学コミュニティ人間科学部は、地域実習という授業において、日本のさまざまな地域で実際の活動に参加できること、自分の興味関心に合わせて幅広い学びができることが大きな魅力だと感じ、入学を決意しました。
大学で研究したいと考えたテーマは、中高時代に直面した「ボランティアのミスマッチ」という課題です。きっかけは、途上国への古着支援を企画した際に、ニュースで「支援物資として送られた古着が現地のニーズに合わず、処分の負担を生んでいる」という現状を知ったことでした。その時は企画を変更し、古着をお金に換えて寄付しましたが、「善意の行動が、相手にとっては押し付けになってしまうこともある」という課題意識が強く残りました。現在は、この経験を原点に、本当に求められる支援のあり方の研究を目標にしています。
高校時代に感じた課題を多角的に捉えて研究テーマに
1年次前期に受講した必修科目「地域学習社会論」は、地域におけるさまざまな世代、立場の人を対象とした学習場面について学ぶ授業です。身近なコミュニティや人との関わりを学問として捉えることの面白さを感じ、さらに知識を深めたいと思う大きなきっかけとなりました。
履修した当初は、入学したばかりで知識が十分ではなく、授業内容を理解するのに時間がかかることもありました。しかし、進級して学びを深める中で、この授業で学んだ言葉や考え方に再び出会うことが増え、コミュニティ人間科学部で学ぶ上での基礎となる「原点」といえる授業だったと思うようになりました。指定の教科書は今も折に触れて読み返し、授業や活動の参考にしています。
また、コミュニティ人間科学部では、「女性」「文化」など、コミュニティを多角的な視点から捉えて学べます。ボランティアの実践だけでは、支援する側の視点だけで地域を捉えてしまいがちですが、大学での学びを通して、行政、NPO、住民など、さまざまな立場から社会課題を考える習慣が身に付きました。現在、「地域学習社会論」の担当教員である伊藤真木子先生のゼミナール(ゼミ)に所属していますが、これまでの経験や学びで身に付いた多角的な視点を生かして研究テーマを設定しています。高校時代に感じた「ボランティアのミスマッチ」という課題について、企業のCSR(企業の社会的責任)という、これまで触れてこなかった観点から取り組むことにしました。企業による社会貢献活動には多くの注目が集まりますが、支援する側である企業の意図が優先されて、支援される側のニーズと乖離する可能性もあります。地域に求められる支援のあり方を探求したいと考えています。
2024年3月に参加した能登半島災害ボランティアにて
現地に行かなければ見えてこない課題に出会える地域実習
3年次の地域実習では、大木真徳先生が担当されている徳島県海部郡牟岐町のプログラムに参加しました。牟岐町は、NPO法人が仲介して、地元の小中学生と交流する全国の大学生ボランティアを積極的に受け入れ、終了後も継続して地域と関わる「関係人口」を増やすことで地域活性化を目指しています。まちづくりとNPOの活動を両方学べる点に魅力を感じました。
以前は地域の活力低下の原因を人口減少に結びつけ、人口増加が地域活性化の鍵だと考えていました。しかし、実習を通して、ただ人を呼ぶだけでなく、地域の規模や住民の理解を踏まえた「無理なく受け入れられる量と質のバランス」が重要だと気付かされました。
現地で最も心を動かされたのは、文字や数値では表現できない「土地の空気感」でした。海と山に囲まれた牟岐町は、美しい自然に恵まれる一方で、津波リスクが高く自然の厳しさと隣り合わせです。1年間の事前学習を通して、町の課題は理解したつもりでいました。しかし、実際に避難経路の清掃を行い、自分の足で現地を歩いたことで、資料や数値だけでは分からない課題が見えてきました。また、役場の方から「高齢者が多い地域だが、津波が来たら速やかに逃げなければ間に合わない地形のため、普段から有事への心構えと避難の徹底を周知しています。」と伺いました。地形や避難経路を目の当たりにした上でお話を聞いたことで、日頃からの住民の意識づくりや備えがいかに切実であるかを知り、実際にその土地に身を置いてこそ本当の課題がわかるのだと痛感しました。
また、実習のグループでまとめ役を担ったことでも人として成長できたと感じています。高校時代、ボランティア部において、自分一人で多くの役割を引き受けていたリーダーとしてのあり方に悩んだ経験から、青学が掲げる「サーバント・リーダー」の考え方に強く惹かれていました。つまり、実習のまとめ役として、指示を与えて皆をまとめるリーダーではなく、縁の下の力持ちとして周囲の主体性を引き出すリーダーになることを意識し、事前学習の段階から、皆が意見を出しやすい環境づくりに努め、全てのメンバーが前向きに取り組めるようサポートすることを心がけました。周囲と協力しながらものごとを遂行する能力が身に付いたと思います。
徳島県牟岐町の出羽島で。中央が戸田さん
価値観が変わり、自らの恵まれた環境を知る海外ボランティア
「青山学院大学シビックエンゲージメントセンター(CEC)」は、学生の社会貢献活動を企画・サポートし、情報発信を行う組織です。私は自らボランティアに参加するだけでなく、学生スタッフとして広報活動や運営補助にも携わっています。「ボランティアのミスマッチ」に課題意識を持つ私にとって、支援する側と受け入れ側をつなぐコーディネートを体験できたことは、かけがえのない学びとなりました。
2024年3月には、CECの紹介で能登半島での災害ボランティアに参加し、被災された方への傾聴活動や物資の配布、炊き出しのお手伝いなどを行いました。この活動も現地に飛び込んだからこそ見えてくる実情を肌で感じる貴重な機会だったと思います。
さらに同年の夏に参加した、認定NPO法人CFFジャパン主催のフィリピンワークキャンプで現地の児童養護施設でボランティア活動を経験した際には、これまで知らなかった世界に触れ、価値観を大きく揺さぶられる出来事として特に印象に残っています。各地から集まった15人の参加者とフィリピンの同世代8人で、施設の整備や子どもたちとの交流を行いました。マニラから車で5時間ほどの活動先は、電波も届かずシャワーもない、何もかも自分たちの手で用意しなければならない環境でした。道路や建物の整備では、シャベルでかき混ぜて手作業でコンクリートを作り、食事の際には自ら鶏をさばいて命をいただく経験もしました。帰国後、プロが機械を使って工事する様子や、スーパーでパックされて販売されている肉類を見て、日本では当たり前だと思っていた環境の有難さを改めて実感しました。
フィリピンワークキャンプでは、何もかも自分たちの手で作業しなければならなかった
ボランティア活動の傍ら、フラダンス(フラ)のサークル「フラサークルUluwehi愛好会」(ウルヴェヒ)でも活動しました。一年に一度、集大成となる発表会(ホイケ)では、演目の構成や演出を仲間と一から考えながら、ステージを作り上げました。仲間と協力しながら一つの舞台を完成させる達成感を味わえたことが、特に心に残っています。活動拠点が青山キャンパスだったため、キャンパスを超えた仲間に出会えたことや、フラの踊りに込められた意味や歴史に触れ、異文化への理解が深まったことも大きな財産です。
フラは、一般的な優雅なイメージとは異なり、かなり筋肉を使う全身運動。心身のリフレッシュにも最適
温かい雰囲気の中で身に付けた、社会課題に向き合う力を糧に
コミュニティ人間科学部は、教員と学生の距離の近さが魅力です。先生方は、学内で会うと「元気?」と気軽に声をかけてくださり、教員と学生が協力して新入生歓迎会や卒業祝賀行事が開催されるなど、本当に温かくてフレンドリーな方が多い学部です。また、オープンキャンパスの学部ブース出展も、既存の学生組織ではなく、毎年有志の学生が集まってゼロから企画します。日頃から地域活動などに主体的に動く学生が多い、この学部ならではの特徴だと感じています。
知識を身に付けるだけでなく人との関わりの中で学べるこの環境で、私自身も大きく成長しました。以前は初対面の方と話すとき緊張してうまく話すことができないこともありましたが、日々のグループワークや発表を経て、今では人前で自分の意見を伝えられるようになりました。さらに、ニュースを見て「授業で学んだ視点で考えられる」と客観的に分析できるようになったり、ゼミの議論でボランティアの実体験を根拠に、説得力のある伝え方ができるようになったりと、実践を理論に生かし、社会課題に対応する力が付いたと感じています。
卒業後もボランティア活動に積極的に参加し、地域に関わり続けたいと考えています。ただコロナ禍の経験から、社会の変化や自分たちの力ではどうにもできない状況により活動が制限される事態を常に想定して、活動に向き合うようになりました。大学で得た「実践と理論の両輪」を生かし、これからも受け身にならず、社会の課題にしっかりと向き合い行動し続けていきます。
フィリピンワークキャンプで参加者と共に。人とのつながりもつくることができた
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2026年度)のものです。
コミュニティ人間科学部
コミュニティ人間科学部では、日本国内の地域に着目した社会貢献を追究し、地域文化とそこに暮らす人々の理解を深め、より良いコミュニティ創造に寄与する力を培います。幅広い知識の学び、体験し行動するプログラムを通じて、自ら課題を発見・解決し、地域の人々との互助・共助のもとにコミュニティの未来を拓く力を育成します。
日本の地域社会は、高齢化や過疎化などさまざまな課題に直面しています。その解決に力を発揮するには、地域の人々に接し、活動の実際を知り、共感する体験が重要です。コミュニティ人間科学科では、地域の人々や行政についての学びをはじめ、市町村やNPOと連携した体験的実習などを展開。専門的知識や技術をもつ職業人として、地域の活性化や持続的な活動支援ができる人材を育てます。









































































































































































































