データ分析のスキルを磨き、人と社会と未来を読み解く力を

掲載日 2026/8/25
No.407
<2026年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
経済学部 経済学科 4年
山﨑 拓真
千葉県立小金高等学校出身

OVERTURE

高校時代に耳にした為替相場のニュースをきっかけに経済学に興味を持ち、大学入学後に計量経済学との出会いを通じてデータ分析の面白さに目覚めた山﨑拓真さん。「なぜそうなるのか」を問い続ける姿勢で学びを深めてきた4年間を振り返りました。

社会を動かす「経済」をデータで読み解きたい

高校生の頃から、テレビやインターネットのニュースから経済に関する情報を入手することが日課でした。特に印象に残っていたのは、為替相場や物価、景気など経済に関するニュースです。同じ出来事でも市場の動きによって社会全体が大きく変化する様子を見て、「経済は私たちの暮らしと密接につながっている」と感じるようになりました。

漠然とニュースを眺めるだけではなく、「なぜ円高や円安になるのか」「経済はどのような仕組みで動いているのか」を体系的に学びたいと思い、経済学部への進学を決意しました。

数ある大学の中で青山学院大学を選んだ理由は、経済学に加え、統計学やデータ分析まで幅広く学べる環境が整っていたことです。高校時代から数字を用いて客観的に社会を分析することに興味があり、将来はデータを活用できる仕事に就きたいと考えていました。IT講習会など実践的な学習機会も充実しており、専門知識だけでなく、社会で役立つスキルも身に付けられることに魅力を感じました。

もう一つ大きな決め手となったのが青山キャンパスの立地です。渋谷や表参道に近く、多くの人や企業、文化が集まる場所で学生生活を送ることは、社会の変化を肌で感じながら学べることにつながると思いました。入学後の学生生活は期待以上で、学生は意欲的で、先生方との距離も近く、授業での疑問を気軽に話し合える環境があり、自分の興味をさらに深めることができました。

また、青山学院大学独自の全学共通教育システムの「青山スタンダード」科目も印象に残る学びのひとつです。専門分野だけでなく幅広い教養を学べるため、文系の私も科学技術に関する視点を身に付けることができました。また、高校時代に興味を持った世界史や哲学の延長で、第二外国語で選択したドイツ語や西洋倫理思想史なども履修しました。興味のある分野を横断的に学べる環境が、自分の視野を大きく広げてくれたと感じています。

イフ基礎スキー愛好会の50周年記念パーティーにて(2023年11月)

面白さを実感できる計量経済学との出会い

大学生活の転機となったのは、2年次に履修した元山斉先生の「計量経済学Ⅱ」でした。統計データを用いて経済現象を分析する計量経済学の授業では、Python(パイソン)というプログラミング言語を使い、自分でテーマを設定して分析を行う課題に取り組みました。

それまで「プログラミングは難しそう」というイメージを持っていましたが、実際に触れてみると、自分が想像していた以上に論理的で面白く、データが数字だけではなく社会の姿を映し出していることに気付きました。

テーマを決め、分析方法を考え、結果を読み解き、自分の言葉で考察する。その一連のプロセスを経験したことで、「自ら問いを立て、答えを探す」ことの楽しさを初めて実感しました。

この授業をきっかけに元山先生のゼミナール(ゼミ)へ進み、統計学の基礎から学び直すとともに、Pythonを活用したデータ分析に取り組んでいます。参考書の輪読やPC実習を重ねる中で、データ分析は単に数値を扱う作業ではなく、「社会で起きている現象を客観的に説明する学問」であることを学びました。

一方で、データ分析には難しさもあります。一つの出来事には多くの要因が関係しており、得られた結果が本当にその要因によるものなのか、それとも別の要因が影響しているのかを判断することは容易ではありません。分析結果を「なぜそうなるのか」という視点で説明するため、多くの先行研究を読み込み、さまざまな角度からデータを見直すことを繰り返しています。

授業で学ぶ公式や理論は、分析のためのツールだと考えています。社会課題に向き合うときには、その背景にある考え方まで理解し、納得できるまで結論を導くように努めています。ゼミでの学びを通して、ニュースや新聞で目にするデータについても「この数字はどのような条件で得られたものなのか」「本当に妥当な結論なのか」と立ち止まって考えるようになり、一つの物事を多角的に捉える視点が身に付いたと実感しています。

また矢吹初先生の「財政学Ⅰ・Ⅱ」も印象的な授業でした。公共事業や租税など政府の財政政策について学ぶ中で、消費税など暮らしに身近な制度が、経済学の理論に基づいて成り立っていることを知りました。税制や財政政策のように意見が分かれるテーマこそ、感覚や印象ではなく理論やデータに基づいて考え、自分なりの結論を導き出したいと思いました。これまで学んできた市場理論やミクロ経済学の知識が実際の政策へと結び付いていることを実感し、経済をより現実的な視点で捉えられるようになりました。政策の背景を論理的に考えることが、専門的な学びへの意欲にもつながっています。

2026年度学業成績優秀者表彰の表彰式にて

私は物事を一気に進めるよりも、毎日コツコツと積み重ねることが得意です。分からないことがあれば、自分で調べたり先生へ質問したりしながら、少しずつ理解を深めてきました。努力はすぐに結果につながるとは限りませんが、毎日の積み重ねは必ず自分の力になります。2025年度の経済学部学業奨励賞受賞、そして今年度の学業成績優秀者表彰での優秀賞受賞を通して、その積み重ねが形となって返ってくることを実感でき、何よりの財産になりました。

未経験から始めたスキーが、卒業研究のテーマに

大学生活では、「イフ基礎スキー愛好会」での課外活動にも力を注ぎました。「大学では新しいことに挑戦したい」という思いから、未経験ながらこのサークルを始めました。冬は長野県のスキー場で合宿生活を行いながら、大会での好成績を目指して練習し、オフシーズンには代々木公園などで、学年を越えた親睦と体力づくりを兼ねた活動をしています。

2026年3月に開催された学生大会の会場にて。出番が終わり、サークルの友人と撮影。(中央が山﨑さん)

活動を始めた当初、同じ初心者だった同級生より上達が遅く、悔しい思いをすることもありました。そこで大学のフィットネスセンター*で体力づくりに励み、先輩に積極的にアドバイスを求めながら練習を重ねました。初めて大会を完走できた時の達成感は忘れられません。そして自分だけで悩みを抱え込まずに人に相談しながら努力することの大切さも学びました。

*関連記事:AGU NEWS 132号「青学フィットネスセンター発「運動と食事が身体を変える」」

また、サークル活動では学科での学びが役立つ場面も多くあります。イベント運営では行動経済学の考え方を参考にし、自分の滑りを改善する際にも、大学で培った分析力や論理的思考を生かしています。

現在取り組んでいる卒業論文のテーマは「インバウンドの増加とスキー場の利益増加の関係」です。サークル活動で訪れた長野県のスキー場で外国人観光客の多さを目の当たりにしたことが研究のきっかけでした。「インバウンドは地域経済にどのような影響を与えているのだろう」という疑問から、宿泊需要との関係について関係省庁などの統計データを用いて分析しています。

研究では、単に数字を分析するだけではなく、「なぜその結果が生じたのか」を考えることを重視しています。その過程を通じて、身近な出来事を経済学や統計学の視点から捉え直し、社会の仕組みを客観的に理解する力が身に付いたと感じています。

3年次の夏、サークル活動の一環として、冬に宿泊する宿でリゾートバイト中。(一番左が山﨑さん)

大学での学びを社会で生かし、新しい価値を生み出したい

就職活動を意識し始めたのは、2年次の終わり頃でした。最初は業界を限定せず、多くの企業説明会や就職イベントに参加しながら、自分に合う仕事を探しました。その中で次第に、大学で学んできた統計学やデータ分析、プログラミングを生かせる仕事に携わりたいという思いが強くなり、3年次の夏頃からIT業界と金融業界を中心に就職活動を進めました。

面接やグループワークでは、大学で取り組んできたデータ分析やゼミでの議論、グループワークの経験が大いに役立ちました。また、サークル活動で培った協調性や、目標に向かって努力を積み重ねる姿勢も、自分の強みとして伝えることができました。

その結果、大手システムインテグレーター企業から内々定をいただき、入社後はデータ分析に関わる仕事に携わる予定です。大学で学んできたことを社会で生かせることを心からうれしく思います。

現在は、統計検定(統計に関する知識や活用力を客観的に評価する全国共通の検定試験)2級を取得し、さらに準1級合格を目指して勉強を続けています。将来は、大学で培った分析力を基盤に、生成AIやデータ活用を通じて社会や企業の課題解決に貢献できる人になりたいと考えています。

振り返ると、青山学院大学での4年間は、専門知識だけでなく、物事を多角的に捉える力を養う時間でした。経済学部での学びに加え、「青山スタンダード」で得た幅広い教養や、サークル活動を通じた多くの出会いが、自分を大きく成長させてくれたと感じています。今後も「なぜそうなるのか」という問いを大切にしながら、大学で培った分析力を卒業後も業務で生かしていきたいと思います。

1年次、サークル活動でテーマパークを訪れ、同期の仲間たちと写真撮影。(右から4番目が山﨑さん)

経済学部 経済学科

経済とは人々が生存していくことであり、多様な要因に基づいて成り立っています。それゆえ、その理解には幅広い視野が求められます。青山学院大学の経済学部においては、このような経済を学ぶ場として多様なテーマの研究が蓄積されており、公正な社会の創造を目指して本質を理解し論理的に行動する力を育成します。
経済学の対象は、労働・娯楽・教育・医療など広範囲におよびます。経済学科では、社会全体への柔軟な視点を養い、より良い経済システムへの道を探ります。「理論・政策・歴史」という伝統的な体系のもと、幅広い教養と専門知識を修得します。資源配分の効率性について学び、より公正な社会の実現に貢献できるよう、「自ら分析できる力」「弾力的な思考力」「行動力」を育みます。

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